blaze
1940 × 1303mm, acrylic and oil on canvas
2019年
『火はあらゆるものを正気づけ、あらゆるものがその存在を負うている元素であり、それは生と死の存在と無の原理として、独力で作用し、自らのうちに作用する力を秘めている。』(*1)
本作品では、火をモチーフにしている。
現代は科学の進歩によって火から離れた文明を送っている。しかし本来、人間の精神には古来より人深い関わりが強く根付いている。
画面に立ち上がる火の形は実際の火の写真をモチーフに制作をしている。作品の左上に位置する目は、鑑賞者の記憶の中の火を見た眼差しや、私自身の目、生と死を超えた存在の目を含意している。近年、個人の命を軽視した事件が多く見える。日々、死を自覚しながらも生きることは難しい。しかし、自身が無意識化することによって尊厳や自由を失い、無自覚な意識を周囲に生む。そういった時代の中で、私は近代化した現代の中で生きる全ての人へ、立ち返る場所となるような作品を作りたいと思っている。
*1「火の精神分析」ガストン・バシュラール 前田耕作訳