個展「water mirror intersect」のお知らせ

2021年 10月 20日

water mirror intersect
高山 夏希 | Natsuki Takayama
2021. 10 / 23 sat. ––– 11 / 14 sun.
OPEN 11:00 – 19:00
CLOSED ( tue. / wed. )

Current Exhibition
この度、haku kyotoでは高山 夏希の個展「water mirror intersect」を開催致します。
本展覧会では、彼女が2021年から制作をはじめた「water mirror」シリーズを発表します。近年、高山は〈見えないもの〉の働きについて思索を巡らせ制作しています。その1つとして、目に見える水面に映り込む像と、目に見えない水の働きや性質を重ね合わせることで、それを捉えようと試みています。

高山の制作は、絵具を注射器に複数色入れ、粒状に絞り出しながら画面に積層しています。また、彫刻刀を使い、絵具を何層にも積層させることで、画面に凹凸が生まれ、様々な色が絡まり合っています。この独自の技法を用い、自然風景や人物、動物を表現することで、モチーフとなっている場面が刻一刻と変化していく様子や動き、そこにある空気感を感じさせてくれます。

本作に関して、彼女は次のように語っています。
「本作は、虚像の媒体として水を提示しているわけではない。水が反映する世界、私たちを包囲している<みえるもの-みえないもの>を含めた周囲に拡がる環境―光景を反照させている。 水そのものは物質であり、<みえないもの>物理化学的-生態的な特性を持つだけでなく、水鏡を絶えず変貌させるような、未知の特性や可能性をも含んでいる。そこには、水に内包されるもの-木が映り込むことによって像を生み出す水、そして、魚を繁殖させ微生物たちが住まう水がある。<みえるみず-みえないみず>。これら両義的に存在を重ね合わせてみた時に、陸や木々に棲まう魚の姿すら仮想することができるのではないか。経験と勘を統合した漁師が、夜の海面に集合灯の光を照らして稚魚を見つけるように。それは、少し先の未来<みえないもの>を予見して、<みえるもの>にはたらきかけている。このように<みえるもの-みえないもの>の結びつきに意識を働かせた時に、私たちは、今ある現実世界とは別様の新たな見方や、可能な現実性を生成しうるのではないだろうか。」

彼女独自の色彩表現から<みえるもの>として、水面に映るものが揺れ動き、水が流れる様をも作品の中に垣間見ることができます。しかし、<みえないもの>として存在する何かは鑑賞者の感覚や想像によって、人それぞれ違うものになるでしょう。
近年、インターネット上での繋がりやオンラインで見ること聞くことを取り上げられることが多くなっています。しかし、人間が生命として存在しているのは現実世界であり、人以外にも生き物や物体が存在しています。本展覧会を通して、オフラインな状態であっても、すでに私達は様々なものと繋がって生きているということを共に考えて頂きたい。そして、その繋がりを見たり、感じたりすることは私達の意識次第で、無限に広がるでしょう。

haku Director 渡邊賢太郎

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